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日曜日に出勤したおかげで月曜日はお休みでした。久しぶりといえば久しぶりに映画を観に行きました。孤高のメスと告白とどちらを観るか迷っていましたが、上映開始時刻の関係で告白を観ることにしました。松たか子様主演の話題作で、5日の土曜日より公開された話題作ですが、平日ということもあってか比較的すいていました。どんな映画かというのを映画ジャッジから抜粋すると、
とある中学校の終業式の日。1年B組の教室で担任の森口悠子は「私の娘・愛美が死にました。警察は事故死と判断しましたが、このクラスの生徒に殺されたのです」と語り出す。衝撃的な告白に教室内は騒然となるが…。
中島哲也監督といえば「嫌われ松子の一生」や「パコと魔法の絵本」など、色彩の洪水がトレードマークだ。だが本作では、モノトーンかと見紛うほどの暗い色調で画面を構成している。色を抑えたことで、時折挿入される魚眼レンズのような映像や、子供たちの唐突なダンスの異様さが際立った。さらに、怒りを押し殺したように篭った独白が、ゆっくりと物語の緊張感を高めていく。
原作小説は本屋大賞を受賞したベストセラーなので、13歳が3歳の命を奪い、教師が生徒に復讐するというショッキングな内容をご存知の方も多いだろう。物語は早々と殺人事件の犯人を明かす、いわゆる倒叙ミステリーだ。だが本作は、犯人の罪を立証する一般のそれとは異なる。少年法に守られた犯人がどんな思いを抱えていたか、周囲の人間がどんな反応を示すのか、何より森口の仕掛けた復讐の罠がどんな風に犯人を追い詰めるのかを描く心理劇なのだ。
告白だけで物語を綴る手法は、なるほど効果的だ。子供だけが持つ残酷で切ない感情が描かれる一方で、大人の歪んだ思いもまた切実に語られる。モノローグは虚実混じり合ったもので、自分に都合のいい真実や、時には孤独ゆえの妄想までも。幼稚な優越感とマザーコンプレックスに支配される修哉、劣等感に押しつぶされそうな直樹、理解を求めて裏切られる美月。鬱屈した感情が絡み合った時、何の罪もない愛美ちゃんの命が奪われた。殺人が自己主張と信じた末の犯行と、学校に蔓延するいじめは、他者を基準にしか物事をとらえられないという意味で根源は同じだ。そのことを森口はよく知っている。そんな子供を導けず正常な判断が出来ない大人もまた罪深い。過保護すぎる直樹のママや自己中心的な熱血教師ウェルテルは、当然、森口の復讐のコマになる。
後味は決して良くはない。だが後味が悪いという感覚は少し違う。教師がこれほど恐ろしい罠を生徒に仕掛ける以上、自身も底知れない悲しみに沈む決意があるはずだ。松たか子演じる森口は、もはやこの世のすべてに決別しているかのようにクールに屹立している。森口の絶望は、津波のような一過性の破壊ではなく、じわじわと海面水位上昇を引き起こす終わりなき異常気象に似ている。「犯人は少年法で守られる。でもこのままにするわけにはいかない」。同様の無念を抱く事件が現実に多いだけに、主人公のこの言葉はリアルな憎しみとなって観客に迫ってくるだろう。犯罪の法的処罰などまったく念頭に置いていないところに、この映画の暗いカタルシスがある。
冒頭、淡々と話し続ける森口の言葉は、宙を舞うように空虚に響き、生徒は誰一人として聞いてはいない。その虚しさが物語の結末にフィードバックする。学校、家庭、社会。誰がどこで教えても構わない。人間には命の尊さを知る場所が必要だ。そして人は誰もが愛される価値があると教える場所も。
映画の予告を観て興味を持ったのですが、上記を見てもわかるように、早々と犯人がわかってしまいます。予告では容疑者37人…というような感じで流れていたので、原作を知らないオイラは、生徒達が告白していくなかで犯人をあぶり出していくのかな? と、思っていたので、『あれっ?』って感じでした。なんか開始早々もう終わり? という、なんだか置いてけぼりを食った気分になっていたら、別の者の告白があって、それからまた別の者の告白があって…、と、色々な人の告白で、ショッキングな理不尽な事件が明らかになっていきます…と、たいそうに書くほど複雑な事件でもないのですが…。「私はあなたを許さない」という発言のように、松たか子さん演じる教師は、犯人である生徒に復讐します。なんとも、ある意味えげつない復讐です。冒頭の学級崩壊などもオイラにはピンとこないのですが、いまの中学校って、こんな感じなのでしょうかね…。もう20年ほど前になるけど、オイラが中学校に通っていたころは校内暴力とかが目立っていたけど…。 とにかく上映間も無い作品なので、ネタバレになるからあんまりストーリーや感想も書ききれていませんが、木村佳乃様も相変わらずお美しいお方でした。HIVの扱いなどで、ちょっとモヤッと感を覚える方もいるかもしれませんが、作品は、淡々と進められていきます。前に観たトリック同様、後味の悪さは残りますが、こういう映画は賛否両論意見が分かれる映画なのでしょうが、個人的にはいい映画だと思う。 夏にはジブリ作品がお目見えするそうなので、興行収入はそれには負けるでしょうが、アニメ作品を除けば今年1番の邦画です…なーんてね…。
とある中学校の終業式の日。1年B組の教室で担任の森口悠子は「私の娘・愛美が死にました。警察は事故死と判断しましたが、このクラスの生徒に殺されたのです」と語り出す。衝撃的な告白に教室内は騒然となるが…。
中島哲也監督といえば「嫌われ松子の一生」や「パコと魔法の絵本」など、色彩の洪水がトレードマークだ。だが本作では、モノトーンかと見紛うほどの暗い色調で画面を構成している。色を抑えたことで、時折挿入される魚眼レンズのような映像や、子供たちの唐突なダンスの異様さが際立った。さらに、怒りを押し殺したように篭った独白が、ゆっくりと物語の緊張感を高めていく。
原作小説は本屋大賞を受賞したベストセラーなので、13歳が3歳の命を奪い、教師が生徒に復讐するというショッキングな内容をご存知の方も多いだろう。物語は早々と殺人事件の犯人を明かす、いわゆる倒叙ミステリーだ。だが本作は、犯人の罪を立証する一般のそれとは異なる。少年法に守られた犯人がどんな思いを抱えていたか、周囲の人間がどんな反応を示すのか、何より森口の仕掛けた復讐の罠がどんな風に犯人を追い詰めるのかを描く心理劇なのだ。
告白だけで物語を綴る手法は、なるほど効果的だ。子供だけが持つ残酷で切ない感情が描かれる一方で、大人の歪んだ思いもまた切実に語られる。モノローグは虚実混じり合ったもので、自分に都合のいい真実や、時には孤独ゆえの妄想までも。幼稚な優越感とマザーコンプレックスに支配される修哉、劣等感に押しつぶされそうな直樹、理解を求めて裏切られる美月。鬱屈した感情が絡み合った時、何の罪もない愛美ちゃんの命が奪われた。殺人が自己主張と信じた末の犯行と、学校に蔓延するいじめは、他者を基準にしか物事をとらえられないという意味で根源は同じだ。そのことを森口はよく知っている。そんな子供を導けず正常な判断が出来ない大人もまた罪深い。過保護すぎる直樹のママや自己中心的な熱血教師ウェルテルは、当然、森口の復讐のコマになる。
後味は決して良くはない。だが後味が悪いという感覚は少し違う。教師がこれほど恐ろしい罠を生徒に仕掛ける以上、自身も底知れない悲しみに沈む決意があるはずだ。松たか子演じる森口は、もはやこの世のすべてに決別しているかのようにクールに屹立している。森口の絶望は、津波のような一過性の破壊ではなく、じわじわと海面水位上昇を引き起こす終わりなき異常気象に似ている。「犯人は少年法で守られる。でもこのままにするわけにはいかない」。同様の無念を抱く事件が現実に多いだけに、主人公のこの言葉はリアルな憎しみとなって観客に迫ってくるだろう。犯罪の法的処罰などまったく念頭に置いていないところに、この映画の暗いカタルシスがある。
冒頭、淡々と話し続ける森口の言葉は、宙を舞うように空虚に響き、生徒は誰一人として聞いてはいない。その虚しさが物語の結末にフィードバックする。学校、家庭、社会。誰がどこで教えても構わない。人間には命の尊さを知る場所が必要だ。そして人は誰もが愛される価値があると教える場所も。
映画の予告を観て興味を持ったのですが、上記を見てもわかるように、早々と犯人がわかってしまいます。予告では容疑者37人…というような感じで流れていたので、原作を知らないオイラは、生徒達が告白していくなかで犯人をあぶり出していくのかな? と、思っていたので、『あれっ?』って感じでした。なんか開始早々もう終わり? という、なんだか置いてけぼりを食った気分になっていたら、別の者の告白があって、それからまた別の者の告白があって…、と、色々な人の告白で、ショッキングな理不尽な事件が明らかになっていきます…と、たいそうに書くほど複雑な事件でもないのですが…。「私はあなたを許さない」という発言のように、松たか子さん演じる教師は、犯人である生徒に復讐します。なんとも、ある意味えげつない復讐です。冒頭の学級崩壊などもオイラにはピンとこないのですが、いまの中学校って、こんな感じなのでしょうかね…。もう20年ほど前になるけど、オイラが中学校に通っていたころは校内暴力とかが目立っていたけど…。 とにかく上映間も無い作品なので、ネタバレになるからあんまりストーリーや感想も書ききれていませんが、木村佳乃様も相変わらずお美しいお方でした。HIVの扱いなどで、ちょっとモヤッと感を覚える方もいるかもしれませんが、作品は、淡々と進められていきます。前に観たトリック同様、後味の悪さは残りますが、こういう映画は賛否両論意見が分かれる映画なのでしょうが、個人的にはいい映画だと思う。 夏にはジブリ作品がお目見えするそうなので、興行収入はそれには負けるでしょうが、アニメ作品を除けば今年1番の邦画です…なーんてね…。
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